骨と会話したい歯医者さん

歯科医師免許取得後1年で臨床から離れ古い骨とかを勉強しているアラサー独女の日常

今週のお題「夏を振り返る」大学院生研究関連

今年の夏は、なんだか特に何をしたわけでもないのに一瞬だった。

例年、夏は授業がなくなるので、仕事の出張をかなり入れる。

去年は会議やセミナーの手伝い、発掘調査などの予定を入れすぎて全く学位の研究自体が進まなかったので、反省し期間を短くしたりプライベートの旅行を削った。

にもかかわらずあまり学位の研究の進捗が思わしくないのは、私の怠け癖によるものなのだろう。(ずっと学生していたい。。。ゴロゴロ)

まあずっとごろごろ研究室で時間の無駄遣いをしたわけではなく、運営を任されている組織の会議やセミナー、ワーキングショップの準備などはそこそこ頑張ったと思う。

おおきなワークショップでのポスター発表は割と盛況で常に人が集まってくれたので嬉しかった。(*ショートプレゼンでは皆原稿なしだったのに私だけカンペ持っててレベルの差を痛感、、、以前原稿を印刷していなかったら、試写を行わなかった東大主催の学会で発表ツールが使えず偉い目に遭ったので常に原稿を印刷している。)

 

研究室というのは往々にして閉鎖的で、自ら外に出ないと煮詰まってしまう。

特に私の所属する医療系学科は総合大学であったとしても病院とセットのキャンパスなので街中に有ある。山にある理学部や工学部といったキャンパスからは離れているため、自ら動かなければ気軽に繋がりが作れない。

当然大学院生も臨床医として活動の傍ら学位の研究をするので、臨床を捨てた私とは状況が違い、同じ医療従事の資格をもっていてもなかなか接点は持てないのだ。

教授不在の小さい研究室所属ゆえに、私は准教授と助教とモンゴル人しか話し相手がおらず(もちろん研究室の外には友人もいるが)研究の話や不安を暴露できるのは、ほとんど日常生活で困難な状況だった。

話しやすい助教も去年1年間産休にはいり、完全に話し相手を失い地獄だった気がする。

今年初めにかけては、つもりに積もった不満が准教授に爆発し学生相談室に一回お世話になるくらい追い込まれ、最終的には准教授に院生の分際でだめ出しをして落ち込ませてしまった。もう研究したくない卒業できない、他の院生の面倒見れないとだだっ子に成り下がった。

准教授もいっぱいいっぱいなので悪いことをしたと思ってはいる。

どこいっても人手不足のオーバーワーク過ぎるぞ日本。

 

話はそれたが、研究者というのは他からやれとか指示されることを待つタイプの人間には向いていない。良い意味でも悪い意味でも自身の仕事をマネジメントする必要があるし、自営経営者のようなもんだ。科研費をとれなかったり論文が出せないなら利益がでない小売店と同じ扱いをされるのは当然である。また独立経営なわけだから、困っていても誰も助けるわけではない。企業だって倒産する会社を善意で救わない、救うときは自身に利益が出るときである。

それはあなたの研究であって、あなたが就職ではなく進学の道を選び、自ら研究することを決めたから、誰も助けないし助ける義務がないのです。(自戒の意味を込めて)

嫌になったら自分で幕引きすればいい。でもだいたい業績が上がらなくてももとは「好き」な分野ではじめたものなので、役に名立たないかもしれない結果を見たくて執着してしまうのが困ったところだ。

プライベートと仕事の線引きが難しい。

いくらでも研究室に残ってしまうしいくらでも時間をかけてしまう。

でもいくら研究室にいても偉いわけではない、ただ効率が悪い無能なだけである。私はその代表例だろう。

そうこうしてると時間だけが経ち、でも社会経験がないために普通の社会に適合できないプライドだけが高い大人が増産される悲劇が生まれる。

今更普通の社会人にはなれない人が多い。

 

そんな特殊な環境で煮詰まった私は、学際融合研究(縦割りがちな研究分野を融合して新しい分野・研究の発展を目指すこと)の分野にとびこんだ。これは日本が推し進めている分野で、世界的にも流行しているように思う。(専門家って特定の分野に特化するから専門家なんだから、他の分野に関しては素人ですから、そりゃ協力すればいい仕事できますよね。)

ちょうど所属大学にその融合研究を支援する若手研究者や院生を支援する制度があって、私も既に支援対象だった。ただ現状を打開すべく活動に関わらなければお友達も刺激をもらえる相手も作れないと思い、雑務で忙しいのにその運営委員に立候補したのが初夏。

おかげで仕事が増え、英語でもメール送って返信するという機会が沢山増えて、英語嫌いの私(英語が嫌いだと研究者は向いてないぞ!)はかなり苦労して立候補したときのことをやや後悔したが、いろんな分野の優秀な人と仕事をすることは、時として圧にもなるが、元気をもらえた。

彼らは大体私より年下なのに(普通の学部は4年、修士2年、博士3年にたいし、歯科医師は学部6年研修医1年博士4年と異なり半分以上は浪人で学部入学している。)ちゃんと社会性が有り自身をマネジメントでき、研究も論文既に何本かあって、ほんと尊敬する。

そして、面白い!といってくれる言葉に救われているのだった。

AIで今のデータを使ったらかなり面白いから一緒にやりましょう、といってくれる人も居て、積極的に会に関わって良かったなーと思えた、それが8月初旬の出来事だった。

 

それ以外にも今年の夏はメディア関係にやたらと注目してもらえる機会が増えて、いろいろあった。(機会があったら記事にします)

一般の人から褒めてもらえるのは嬉しかったが、自分でなにも学術的にはやり遂げていないので、違和感が残った。

やっぱり自分の劣等感はだれでもいいから評価されるのではなく、自分が行った研究が論文という形になり学会などでのアカデミアな場所で賞を取らない限り払拭されないという事も知った。やっかいな性格である。